あなたと月を見られたら。
「そうですね。麻生さんのおっしゃる通り、先入観を取っ払って彼のことを考えてみます。」
ウン、と自分に納得しながら麻生さんの方を見ると
「うん!それがいいよ。
話だけならいつでも聞くから頑張って!」
麻生さんは、相変わらずの笑顔を向けて満足そうにニコニコと笑ってくれた。
◇ ◇ ◇ ◇
それから……
麻生さんとは毎日いろんな相談をするようになった。龍聖のことはもちろんだけど、お仕事のことやプライベートのことも。
その場所はオフィスだったり外のお店だったり色々だ。お昼を一緒に食べることもあれば、仕事終わりに少しだけ飲んで帰ることもある。
そこで手に入れた情報によると、麻生さんはモテるけど今は彼女はいないらしい。
「俺、今は仕事を優先させちゃうから付き合ってもカノジョに寂しい思いをさせちゃうし、不安にさせちゃうだろ?だから今は彼女はいらないかな。」
「え?!そうなんですか?!」
「うん。やっぱり好きな子にはずっと笑っていて欲しいしね。寂しい顔しかさせられないなら、付き合ってても意味ないし。」
そんな風に笑う麻生さんを見て『この人、なんっっっていい人なのっ!』そう思ったのは間違いない。
ハァー。
ホント…龍聖とは大違いですよ。
仕事して、性欲処理して、また仕事。ひたすら仕事を優先されて、散々寂しい思いをさせられた私からすれば…麻生さんはまさに天使!!
出来た人だ…。
優しい人だ…。
素晴らしい…。
次に恋をしたい人はやっぱり麻生さんみたいな優しくて思いやりのある人がいい。
彼と話すたび、食事をするたびに、私はその気持ちを強めていった。