あなたと月を見られたら。
呆然としながら、龍聖を見つめながら立ちすくんでいると
「美月。とりあえず座れば??」
「…え??」
「メシ食べるにしても、帰るにしてもどっちでもいいけどさ?とりあえず来たんだからコーヒーだけでも飲んで行きなよ。」
そう言って、龍聖はカウンターの前の席にポンとおしぼりを二つ置く。
「あ…うん…。じゃあお言葉に甘えて…。」
さっきまでの勢いはどこへやら。あまりにも衝撃的な事実を打ち明けられた私は意気消沈してしまって、帰る気持ちになんてなれなくて…。トボトボとカウンターに向かって足を進めると
「じゃあ、俺、帰るね!」
「え、ええっ?!」
この会合の仕掛け人、麻生優聖はニッコリ笑って私の肩をポンっと叩く。
な、何言ってんのよ、この人っ!!
この状態でなんで私を1人にするわけっ?!
信じられない言葉にクワッと瞳を開けて、麻生さんを睨みつけると彼は
「こういうことはちゃんと二人で話し合わないとね。」
そう言ってニッコリと天使のように微笑む。
でも!!と非難の声を上げるとツカツカとカカトの音を響かせながら私に近づいてきて、耳元近くに顔を寄せると
「聞きたいことがあるなら、俺じゃなくて龍聖に聞きなよ。安全地帯で文句言ってるヒマがあるなら、真実を直接本人から聞き出す方がよっぽど有効だと思うけど?」
「…え?」
「牧野さんってさぁ??傷つきたくなくて逃げてるだけの弱虫のくせに言うことだけは一丁前だから、、、ムカつくんだよね。」
ドスの効いた冷たいの声で、彼は私を罵った。