あなたと月を見られたら。

自分の見る目のなさにガックリしながら、龍聖の準備してくれた席に腰を落とすと

「びっくりした?」

「え??」

「俺と…優聖の関係。」

試すように、探るように、龍聖は私に問いかける。


驚いたか、驚かなかったかって??


「そりゃ…驚いたに決まってるでしょ。」


結びつくはずのない二人が結びついちゃったんだもん。友達ならまだわかるけど双子だなんて、、、予想だにしなかったわよ。

しかも、しかもですよ?憧れてた人間天使の麻生さんが作り物だと知っちゃったんだもん…。そりゃあ、ショックも倍増ですよ…。


ハァと深く深くため息を吐いて、カウンターの机に突っ伏すと

「でも俺もびっくりしたな。優聖と美月が同じ職場だったなんて、思いもしなかった。」

クスクス笑いながら龍聖はコーヒー豆を挽き始める。その優しく香ばしい香りにホッとしながら

「それは私も同じよ。」

と呟くと

「そりゃそうだ。」

と龍聖は笑った。



カップを選んでコーヒーを淹れている間、龍聖はいろんな話をしてくれた。


両親が離婚したのは12歳の頃だったこと。それまでは自分と麻生さんは父親も母親も同じ双子だと信じて疑わなかったこと。両親が離婚した後も麻生さんと龍聖はこまめに連絡を取り合っていて、とても仲が良かったこと。


あと…お母さんのことも。

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