あなたと月を見られたら。
ゆ、歪んでる…
危険な顔して満足そうに微笑む龍聖を見てると、口の端がピクピク痙攣しちゃう。
口説いてるクセに落ちたらガッカリって何のゲームなのよ!!何の!!
この冷血漢!人でなしー!鬼ー!悪魔ー!!ウッカリ流されそうになった私をどうしてくれる!!
目の前で危険な顔して笑う、愛のない男に心底ガッカリしていると
「ま、こんなところで立ち話もなんだから中においで?いいワイン、隠してあるんだ。」
龍聖はニッコリ笑って私の腰に手を回す。
ハァー、相変わらずこういうエスコートは完璧。長年培われたプレイボーイ根性に呆れるやら感心するやら。
ため息を吐いて
「そういうとこ、変わってないね。」
とツッコむと
「うん、よく言われる。」
悪魔は笑顔で私にうなづく。
エリートサラリーマンではなくなったと言っても、長年培われたホスト気質は相変わらずのようだ。
龍聖に誘導されるがままに中に入ると、彼は窓際の席に座るように私に耳打ちする。いちいち近い龍聖のアプローチにドギマギしながら龍聖の指差すテーブルに向かうと、そのテーブルの真ん中には小さなヒマワリの花が一輪だけ飾られていた。