月の綺麗な夜に
あっという間に高校三年の初日が過ぎ去ろうとしている。
教室では汗を異常にかいたハゲた担任が、実力テストの実施について説明していた。
「…ということで、お前らはもう受験生なわけだ。明日は早速実力テストが実施される。緊張感を持ちながら臨むように!以上!今日はこれまで!」
「起立、礼」
「ありがとーございましたー!」
一日の終わりの儀式のような礼を済ませると、担任に「金山、ちょっと来い!」と呼ばれた。
金城という名前で出席番号が前の知香が振り返り、不思議そうな顔をしている。
自分としてもなぜ呼ばれたのかはよくわからない。
「ごめん、ちょっと待ってて」
知香にそう声をかけ、にやついた表情の担任の元へと近寄った。