不要なモノは愛
初めて見る服装と爽やかな笑顔のせいだろうか。胸が高鳴っていて止まらない。

「恋はドキドキするものなのよ」と秋絵が言っていたことを思い出す。この胸の高鳴りは恋だから?

絶対に違う。だって、この男のことは嫌いなのだから。正体不明な感覚に対して、無理に答えを求めようとしなかった。


車に乗せられても行き先を教えてもらえず、変わっていく景色をぼんやりと眺めた。静かな車内は気まずさがあったけれど、不思議と嫌悪感はなかった。


「着いたぞ」


「ここですか?」


「そう。行こう」


着いたところは水族館と遊園地があるテーマパーク。まずは水族館のほうに入る。


「わあ、すごい…」


思わず感嘆な声が出てしまう。トンネル型の大きな水槽にイルカがいて、優雅に頭の上を泳いでいく。間近でイルカを見たのは初めてだった。

愛らしい顔を見ると、口元が緩んでしまう。かわいいな。
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