不要なモノは愛
友だちと出掛けるのとは全く違う感覚だ。

「楽しいデートだった!」…そんなふうに緩んだ顔で報告する友だちを何回も見てきた。楽しいデート…松野兄は楽しいと思っているのかな?


「ん?何?」


「あ、楽しいですか?」


「クスッ。何だよ、それ。うん、楽しいよ。小夏も楽しいだろ?ほら、次はショーを見るよ」


楽しい?

確かに、色鮮やかな魚や海の生き物を見るのは楽しかった。つい洩れてしまう「かわいい」の声に、「うん、かわいいね」と反応が返ってくるのも嬉しくて、楽しかった。

今まで男の人と出掛けて時間を共有したことがなかった。一樹と外食をすることがあったくらいだ。

同じものを見て、同じように感動するのが嬉しいと思ったのも久しぶりだった。母と家でドラマを見て、一緒に感動した時の嬉しさに似ている。そう考えると、家族と恋人は近い存在なのかもしれない。


でも、恋人ではない。では、何?

何だろう…。
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