不要なモノは愛
一樹はおそらく、私と一緒にリンゴを食べるつもりだったのだろう。一樹が何かを持ってくるときは、いつもそうしていたから、今回もそのつもりだったはず。

だから、松野兄がいて、自分が追い返されるのは納得いかなくて当然だ。

私だって、納得できない。勝手にあがって、勝手に来客の相手をして、勝手に帰そうとするなんて、有り得ない。身勝手にも程があり過ぎる。

だけど、私たちの抗議を訴える目を松野兄は気に止めない。


「何って、小夏と晩御飯の準備をしている。高宮が来たから中断してしまったけど、まだやらなくてはいけないから忙しいんだよ。だから、用が済んだなら帰ってくれる?」


確かにご飯の準備をしていて、中断している。だからといって、せっかく来てくれた一樹をすぐに追い返すなんて酷い。

自分勝手な男にそんな権限はない。ここは、私の家だし、一樹は私のために来たのだから。


「一樹。帰らなくていいよ。あがって」


「小夏。何を言う?」


「ここは私の家です。決めるのは私です」
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