欲しがりなくちびる
「浩輔……?」

じっと、真剣な眼差しをして見つめてくる浩輔が何を言おうとしているのか分からず、朔は窺うように名前を呼ぶ。

「でも……。朔のここをこうしてやるとすぐに濡れるのも、ここを指で震わせてやると可愛い声を上げて俺を誘うのだって、全部俺が教えたんだ」

いつものように冷静に言いながらも、その通りに愛撫してくる浩輔に、朔の息は既に上がり気味だ。

「浩輔……っ、言ってること、分かんな……っ!」

急速に昇り詰めていく感覚を、朔はもう自分ではどうすることもできない。それでも、目の前にいるのが浩輔だから、安心して身を任せられるのかもしれない。彼の腕にしがみ付きながら、その夜、六度目の絶頂に達した。

「だめ……。もう壊れちゃう……」

浩輔は、酸素を求めて踠くように呼吸を繰り返している朔の額にそっと唇を押し当てる。

「可愛いこと言うな。でも悪い。まだ全然足りない」

「……どうしたの? 今日の浩輔、なんか変だよ……」

朔は、朦朧とする意識の中で浩輔へと手を伸ばし、彼を抱き寄せる。汗ばんだ二人の肌がぴたりと重なった。

浩輔に求められるまま、どんな形にも姿を変える自分を愛おしいと思うようになったのはいつからだろう。浩輔になら、本当このまま壊されてしまっても構わないとさえ思えてしまう。強張った身体が弾けるようにしてこの身が散っても、その欠片は浩輔の一部となって永遠に生き続けられればいい。

そうやってずっと浩輔と一緒にいられたらいいと、朔は彷徨う意識のなかでそんなことを思っていた。

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