欲しがりなくちびる
「つまり、その二つのイベントで、女は篩いにかけられるってわけね」
朔が言うと、実加はこくこくと頷く。
「始まりが健全じゃないから仕方ないですけど」
「でも、実加ちゃん。学生時代から付き合ってた元彼、結構長く続いたんでしょ」
肩を竦めた彼女に聞けば、今度は手持無沙汰とばかりに、中指を弾いてくるりとペン回しをする。
「五年、くらいですかね。お互い浮気とかして友達と恋人の間を行ったり来たりしてる期間も含めると。でも学生時代って、どうしてあんなにすぐ恋人ができたんですかね? 今なんて、友達の友達の紹介みたいなのにまで頼らないと出会いすらないですし。女友達と遊ぶのも楽しいけど、男がいないとこう、沸々と胸の奥に何かが燻ったままというか。それも意識しなければそのうち忘れてしまう程度のものだったりするんですけれどね」
そう言って数瞬ぼんやりと視線と漂わせた実加は、気を取り直すようにペンを持ち直す。
「実加ちゃんて、見掛けよりわりと冷めてるよね」
「えっ? そうですか? まだ情熱燃やせるような男に巡り会えていないだけですよ」
少し不貞腐れたふうに唇を尖らせる様子は愛嬌があって、きっと男受けするのだろうと朔は思う。
「巡り会いたいね、そんな男に」
「会いたいですねー……」
しばらく沈黙が続いた後、お互い気まずそうに照れ笑いをする。
服はどれもきちんと折り畳まれていたため、サイズ欠けしている商品をバックヤードから出してきて店頭に並べていると閉店時間となり、朔は入口にクローズと書かれたプレートを掲げると照明を一段落とした。
朔が言うと、実加はこくこくと頷く。
「始まりが健全じゃないから仕方ないですけど」
「でも、実加ちゃん。学生時代から付き合ってた元彼、結構長く続いたんでしょ」
肩を竦めた彼女に聞けば、今度は手持無沙汰とばかりに、中指を弾いてくるりとペン回しをする。
「五年、くらいですかね。お互い浮気とかして友達と恋人の間を行ったり来たりしてる期間も含めると。でも学生時代って、どうしてあんなにすぐ恋人ができたんですかね? 今なんて、友達の友達の紹介みたいなのにまで頼らないと出会いすらないですし。女友達と遊ぶのも楽しいけど、男がいないとこう、沸々と胸の奥に何かが燻ったままというか。それも意識しなければそのうち忘れてしまう程度のものだったりするんですけれどね」
そう言って数瞬ぼんやりと視線と漂わせた実加は、気を取り直すようにペンを持ち直す。
「実加ちゃんて、見掛けよりわりと冷めてるよね」
「えっ? そうですか? まだ情熱燃やせるような男に巡り会えていないだけですよ」
少し不貞腐れたふうに唇を尖らせる様子は愛嬌があって、きっと男受けするのだろうと朔は思う。
「巡り会いたいね、そんな男に」
「会いたいですねー……」
しばらく沈黙が続いた後、お互い気まずそうに照れ笑いをする。
服はどれもきちんと折り畳まれていたため、サイズ欠けしている商品をバックヤードから出してきて店頭に並べていると閉店時間となり、朔は入口にクローズと書かれたプレートを掲げると照明を一段落とした。