欲しがりなくちびる
どうして気付いてしまったのだろう。どうしてそこで立ち止まってしまったのだろう。後の祭りとはこのことを言うのだろう。
駅からマンションまでの通り道にある商店街のカフェバー。朔は、浩輔と、浩輔とマンション前でキスを交わしていた女性――片庭結子という――の三人でデーブルを囲んでいた。
うっかりいつもの癖の木枠に縁取られたガラス張りの店内へと目を遣ってしまったのが運のつきだ。窓越しに見つけたのは、浩輔と結子が二人きりで飲んでいる姿だった。途端に強張った身体が歩みを止めてしまえば、ちょうど煙草に火を点けたばかりの浩輔と目が合った。そして、彼の視線の先にいる朔の存在に気付いた結子が店の扉からひょっこり顔を出して声を掛けてきたのだ。
「大嶋君のお友達ですか?」
屈託なくそう訊ねてきた彼女は、明るいブラウンの髪色をしたベリーショートがよく似合う女性だった。
当然のように腕を引かれて彼女の後に続いて店に入ることになり、こうして三人で向い合う形となった。妙な胸騒ぎに心音は乱れているのに、二人の関係を確かめたいという衝動に駆られている。
駅からマンションまでの通り道にある商店街のカフェバー。朔は、浩輔と、浩輔とマンション前でキスを交わしていた女性――片庭結子という――の三人でデーブルを囲んでいた。
うっかりいつもの癖の木枠に縁取られたガラス張りの店内へと目を遣ってしまったのが運のつきだ。窓越しに見つけたのは、浩輔と結子が二人きりで飲んでいる姿だった。途端に強張った身体が歩みを止めてしまえば、ちょうど煙草に火を点けたばかりの浩輔と目が合った。そして、彼の視線の先にいる朔の存在に気付いた結子が店の扉からひょっこり顔を出して声を掛けてきたのだ。
「大嶋君のお友達ですか?」
屈託なくそう訊ねてきた彼女は、明るいブラウンの髪色をしたベリーショートがよく似合う女性だった。
当然のように腕を引かれて彼女の後に続いて店に入ることになり、こうして三人で向い合う形となった。妙な胸騒ぎに心音は乱れているのに、二人の関係を確かめたいという衝動に駆られている。