欲しがりなくちびる
「俺って、一体どんな男なんだよ。朔って本当……。まぁ、いつものことだけど」

「いつものことって何? 別に隠すことないじゃん。あんなに熱烈なキスしておいて」

みっともないって分かっているのに、勝手に口が動いて嫌になる。なんだかんだ言ってみたところで、結子に嫉妬している。

「おまえ……。やっぱ気にしてたのか」

「そんなんじゃないし!」

そんなつもりはないのに興奮気味になってしまう朔に、浩輔はやれやれといったふうに今度はさらに大きな溜息を吐く。

「片庭は帰国子女だからか、今でもちょっとズレてんだよ。これでいいか」

浩輔は窺うように首を傾げて、朔の顔を覗き込む。

「いいかって、何が?」

「だから、朔が拘ってんだろ。とにかく俺と片庭の間には何もない。この話はもうこれで終わりな。シャンパンってまだ残ってる? 俺もグラス持ってくるわ」

強制的に結子の話をそこで終わらせた浩輔は、脱いだジャケットをソファのアーム部分に掛けると、朔の隣に腰を下ろした。

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