欲しがりなくちびる
「うん。旨い」
まずは缶ビールで喉を潤した浩輔は、クリームシチューを口に入れるなり頬を綻ばす。彼もご多分に漏れず、おおよその男子同様、ハンバーグだとか子供が喜びそうな食事が好きだった。
無愛想な彼を知る人間ならば、予想外に可愛らしい一面を持っていると親近感を感じるかもしれないけど、キャリアウーマンである浩輔の母親が料理を不得意としていることで、家庭の味を今でも求めているのかもしれないと思うと少し可哀想にも思える。
単に、舌がお子様な可能性もあるけれど、今夜のシチューも以前作ったグラタン同様にクリームソースから手作りしたのだと知った浩輔は予想以上に驚いて、珍しく身を乗り出してきたことを考えれば、やっぱりそうなのかなと思ってしまう。
手作りした方が市販の缶詰よりは格段に美味しいし浩輔が喜ぶから、面倒ではあるけれど、一緒に暮らすようになってからはそういうものは使わないようにした。
正直に言えば、朔にとっては、男の為に料理をするのは一番したくない事だった。
男の胃袋を掴めとはよく言われていることだけれど、そういった、これ見よがしに女らしさをアピールすること事態が好ましくないし、彼女からしてみれば、それこそ負けている女が使う技だと思っていたから、敢えて料理なんて全然できないふりをしてきた。
あからさまに家事能力が低いと溜息吐かれても、そんなにジェンダーについて語りたいなら年収教えてよ?くらいにしか思っていなかったし、そういう男はさっさと見切りをつけてきた。
けれども、浩輔に対しては違う自分がいる。
女をアピールしている訳では決してないと断言できるし、彼自身も家事をちゃんとする人だから、変に考えずにやれてしまうのかもしれない。
もしくは、相手が付き合っている男なのか、そうでないかの違いなのかもしれないけれど。
まずは缶ビールで喉を潤した浩輔は、クリームシチューを口に入れるなり頬を綻ばす。彼もご多分に漏れず、おおよその男子同様、ハンバーグだとか子供が喜びそうな食事が好きだった。
無愛想な彼を知る人間ならば、予想外に可愛らしい一面を持っていると親近感を感じるかもしれないけど、キャリアウーマンである浩輔の母親が料理を不得意としていることで、家庭の味を今でも求めているのかもしれないと思うと少し可哀想にも思える。
単に、舌がお子様な可能性もあるけれど、今夜のシチューも以前作ったグラタン同様にクリームソースから手作りしたのだと知った浩輔は予想以上に驚いて、珍しく身を乗り出してきたことを考えれば、やっぱりそうなのかなと思ってしまう。
手作りした方が市販の缶詰よりは格段に美味しいし浩輔が喜ぶから、面倒ではあるけれど、一緒に暮らすようになってからはそういうものは使わないようにした。
正直に言えば、朔にとっては、男の為に料理をするのは一番したくない事だった。
男の胃袋を掴めとはよく言われていることだけれど、そういった、これ見よがしに女らしさをアピールすること事態が好ましくないし、彼女からしてみれば、それこそ負けている女が使う技だと思っていたから、敢えて料理なんて全然できないふりをしてきた。
あからさまに家事能力が低いと溜息吐かれても、そんなにジェンダーについて語りたいなら年収教えてよ?くらいにしか思っていなかったし、そういう男はさっさと見切りをつけてきた。
けれども、浩輔に対しては違う自分がいる。
女をアピールしている訳では決してないと断言できるし、彼自身も家事をちゃんとする人だから、変に考えずにやれてしまうのかもしれない。
もしくは、相手が付き合っている男なのか、そうでないかの違いなのかもしれないけれど。