欲しがりなくちびる
喉越しの良い炭酸とすっきりとした苦みに、ぐびぐびと喉が喜んでいる。 

長めにバスタブに浸かった後、グラスに移した缶ビールとともに、心の中で今日一日の反省会をする。

午後11時近くになるけれど、浩輔はまだ帰ってこない。最近は、遅くなる時は連絡を寄こしていたのに今日はどうしたのだろうと心配になるが、急な接待でも入ったのかもしれない。週末だというのに、営業マンは大変だ。

「さて、と」

朔は、タブレットで賃貸物件を検索する。

何度か考えてみたが、このままずるずると浩輔のマンションで暮らすのは、彼にとっても自分にとっても良くない事だと結論づけた。居心地が良いからこそ、尚のこと駄目だと思った。

浩輔と距離を置いて、自分のことも浩輔のことも、いちからしっかり考えた方がいい。

でもそれは、相手が見えないところにまで一度離れてからじゃないと出来ないと思った。

急がなければ、新年度を迎える4月までにはぎりぎり見つけないと、いい物件はどんどん無くなってしまう。

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