欲しがりなくちびる
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「なぁ朔。おまえ、最近太った?」

今夜も浩輔のベッドで長い夜を過ごしたあと、彼は朔の裸のラインをなぞるように綺麗な指先をつつぅ、と伝わらせていく。

「失礼なこと言わないでよ。ちょっとだけだから! ほんのちょっと」
 
「本当かよ?」

訝しげに言う浩輔だが、彼が最近禁煙を始めたのを知っている。

「何かさ、ここも色、濃くなってる気がする」

そう言って浩輔が次になぞったのは、朔の乳房の中心に色付いている蕾。

そっと転がすように押し潰されて、思わず吐息を漏らす。

「もう、だめだって浩輔。またしたくなっちゃうよ」

甘い声を出して彼にしがみ付いたら、咎めるみたいに眼を眇める。

「毎回激しくしてんのに、案外平気だったりするもんなのかな」

考え込むようにして首を捻る浩輔が可笑しい。

「じゃあ、ちょっとだけスローペースにしてみれば?」

なんて言って、朔も惚けてみせる。

お互いにまだ口には出していないけれど、訪れた朔の身体の変化に浩輔も気付いているようだ。

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