欲しがりなくちびる
朔と浩輔は姉弟だが、学年は同じで誕生日は二ヶ月しか違わない。
朔は4歳の時に実の母親を病気で亡くしており、今、彼女がお母さんと呼んでいるのは、父親と再婚した浩輔の母親のことだ。その為、二人の間に血の繋がりはない。
仕事がある父親の代わりに朔を育ててくれた祖母の家と浩輔の家は近所で、物心ついたときにはもう一緒に遊んでいた。
浩輔の両親は共働きで帰りが遅く、11歳年上の彼の兄が進学で家を出たのを機に、面倒見の良い朔の祖母が夕食に浩輔を呼ぶようになった頃から二人の距離はぐんと縮まった。
中2の夏の終わりに浩輔が両親の離婚とともに引っ越してから二人が再び出会うのは、それから三年後のことだった。
朔の父親と浩輔の母親が再婚して、それまで朔が父親と二人で暮らしていた家で新しい家族の生活が始まった。
浩輔は、空白の三年のあいだにすっかり変わっていた。
ぐんと伸びた身長とシャープになった頬のせいで、その瞳の印象までもが変わっていたら、朔はきっと本当に浩輔だとは信じられなかったかもしれない。彼はもう無邪気に笑うこともなくなり、妙に冷めた眼をして世の中を見ていた。
妙に達観し斜に構えるような姿勢は10代特有のものではあるが、朔はといえば、10代という一度きりの青春を謳歌していた為、あまりに対照的な二人に両親は仲が悪いものだと決めつけている節があったが、その方が朔も浩輔も好都合ではあった。
朔は4歳の時に実の母親を病気で亡くしており、今、彼女がお母さんと呼んでいるのは、父親と再婚した浩輔の母親のことだ。その為、二人の間に血の繋がりはない。
仕事がある父親の代わりに朔を育ててくれた祖母の家と浩輔の家は近所で、物心ついたときにはもう一緒に遊んでいた。
浩輔の両親は共働きで帰りが遅く、11歳年上の彼の兄が進学で家を出たのを機に、面倒見の良い朔の祖母が夕食に浩輔を呼ぶようになった頃から二人の距離はぐんと縮まった。
中2の夏の終わりに浩輔が両親の離婚とともに引っ越してから二人が再び出会うのは、それから三年後のことだった。
朔の父親と浩輔の母親が再婚して、それまで朔が父親と二人で暮らしていた家で新しい家族の生活が始まった。
浩輔は、空白の三年のあいだにすっかり変わっていた。
ぐんと伸びた身長とシャープになった頬のせいで、その瞳の印象までもが変わっていたら、朔はきっと本当に浩輔だとは信じられなかったかもしれない。彼はもう無邪気に笑うこともなくなり、妙に冷めた眼をして世の中を見ていた。
妙に達観し斜に構えるような姿勢は10代特有のものではあるが、朔はといえば、10代という一度きりの青春を謳歌していた為、あまりに対照的な二人に両親は仲が悪いものだと決めつけている節があったが、その方が朔も浩輔も好都合ではあった。