欲しがりなくちびる
早番の出勤時間は電車もほどよく空いている。朔は、いつもとは違う沿線の電車に揺られながら、ぼんやりと昨晩の事を思い出していた。
何度考えてみても、やっぱり、あのマンションには帰りたくなかった。
後ろめたい事は何一つしていない彼女の方が帰宅を躊躇われてしまうのは矛盾しているが、一歩足を踏み入れることを想像しただけで身震いがする。
もしもプロポーズされる以前のことだったら、ここまで潔癖にならずにいられたのかもしれないと、朔は思う。
暢に限らず、恋人の浮気を経験するのは始めてではなかった。
けれども、まだ神父の前で誓った訳ではないにしろ、それでも、限りなくそこに近いところまで二人は来ていたはずだった。暢はそういった意味で過去の男達とは違う。
ふいに、暢には今夜飲み会の予定が入っている事を思い出す。そういった集まりを断らない人だから、きっと今夜の帰りは遅くなるはずだ。
朔は駅の改札口に向かいながら、昨夜閃いたアイデアを実行すべくバッグから携帯電話を取り出していた。
何度考えてみても、やっぱり、あのマンションには帰りたくなかった。
後ろめたい事は何一つしていない彼女の方が帰宅を躊躇われてしまうのは矛盾しているが、一歩足を踏み入れることを想像しただけで身震いがする。
もしもプロポーズされる以前のことだったら、ここまで潔癖にならずにいられたのかもしれないと、朔は思う。
暢に限らず、恋人の浮気を経験するのは始めてではなかった。
けれども、まだ神父の前で誓った訳ではないにしろ、それでも、限りなくそこに近いところまで二人は来ていたはずだった。暢はそういった意味で過去の男達とは違う。
ふいに、暢には今夜飲み会の予定が入っている事を思い出す。そういった集まりを断らない人だから、きっと今夜の帰りは遅くなるはずだ。
朔は駅の改札口に向かいながら、昨夜閃いたアイデアを実行すべくバッグから携帯電話を取り出していた。