欲しがりなくちびる
暢の月給3ヵ月分を悠にオーバーするフランス製の婚約指輪が例えイミテーションだったとしても、彼の裏切りという事実がなかったことになるのなら、真っすぐな想いで左薬指にはめる決意ができるだろう。
これから新婚生活を始めようというその部屋で、そのベッドで、恋人以外の女を抱く神経の太さは、朔が知っている暢には持ち合わせていないもののはずだった。
いっそ、だめ男が見せるたまの優しさに翻弄されるほうがまだ幸せかもしれないと思う。
日焼け止めとマスカラ、薄付きのグロスだけの軽いメイクで部屋を出る。
燦々と降り注ぐ太陽に、日が落ちるまで待ったほうが良かったかと後悔したが、一日しか休みがないことを考えれば行動を始めるのに早すぎる時間ではないだろうと、サングラスをかける。
近所の商店街に探しているヨーグルトはなく、散策も兼ねて隣町まで行ってみることにする。駅を出て少し歩くと商店街のアーケードが見えてくる。
一番に出迎えるのはスイーツの店で、人気店なのかガラス張りの店内は満席だった。
アーケードを進めば昔ながらの商店街といった感じで、何を商いにしているのか分からないような万屋のような店もあれば、老舗と銘打った和菓子屋もあり、肉屋からはラードの香ばしい匂いが漂ってきて、こんがり揚がったコロッケに、食事を摂ったばかりだというのにお腹が鳴った。
スーパーの看板を見つけると、その入口の手前に『絵画教室』と色チョークで塗り潰された黒板が目に入る。
イーゼルに立て掛けられたそれには、2階へどうぞ、と矢印付きで付け加えられていた。
これから新婚生活を始めようというその部屋で、そのベッドで、恋人以外の女を抱く神経の太さは、朔が知っている暢には持ち合わせていないもののはずだった。
いっそ、だめ男が見せるたまの優しさに翻弄されるほうがまだ幸せかもしれないと思う。
日焼け止めとマスカラ、薄付きのグロスだけの軽いメイクで部屋を出る。
燦々と降り注ぐ太陽に、日が落ちるまで待ったほうが良かったかと後悔したが、一日しか休みがないことを考えれば行動を始めるのに早すぎる時間ではないだろうと、サングラスをかける。
近所の商店街に探しているヨーグルトはなく、散策も兼ねて隣町まで行ってみることにする。駅を出て少し歩くと商店街のアーケードが見えてくる。
一番に出迎えるのはスイーツの店で、人気店なのかガラス張りの店内は満席だった。
アーケードを進めば昔ながらの商店街といった感じで、何を商いにしているのか分からないような万屋のような店もあれば、老舗と銘打った和菓子屋もあり、肉屋からはラードの香ばしい匂いが漂ってきて、こんがり揚がったコロッケに、食事を摂ったばかりだというのにお腹が鳴った。
スーパーの看板を見つけると、その入口の手前に『絵画教室』と色チョークで塗り潰された黒板が目に入る。
イーゼルに立て掛けられたそれには、2階へどうぞ、と矢印付きで付け加えられていた。