欲しがりなくちびる
独占欲と嫉妬に支配された暢は、朔が何度絶頂を迎えても果てることはなかった。凌辱され続けながら、まるで覚めない悪夢に魘されて為す術もないままに、朔はただそこに漂うことしかできずにいる。

やがて瞼の端に見える光を頼りに意識を取り戻した時、暢はまだ彼女の中でその存在を誇示していた。

「……憎むわ。暢を嫌いになれなくて自分を何度も責めたけど……、今なら何の躊躇いもなくあなたを蔑むことができるっ!」

残った力を振り絞って暢を睨みつけると、それはよほど効果があったのか、それまで朔の中でぎちぎちに食い込んでいた怒張はみるみるうちに萎んでいく。

我を取り戻したように動揺し始める暢をその隙に押しやると、朔は覚束ない仕草で衣服を身に着けとっさに目に入ったバッグだけを持って部屋を飛び出していた。

浩輔にたまらなく会いたかった。

会って、苦しいくらいに抱き締めてもらいたかった。

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