欲しがりなくちびる
浩輔という人間は、朔の中で何でも特別に位置している。始めから競われることのない特等席は、彼の為にだけ用意されている場所だ。
浩輔に抱き締めてほしいと思ったのは、彼の腕の中だけが、唯一生まれ変われる場所だと信じているから。でも本当は、彼の前に立つことさえ許されないほど穢れていると知っている。
「心も身体も弱ってるときにすると、おまえ俺に惚れるだろ」
ふっ、と口元を緩めてそう言った浩輔に肩を抱かれて、彼のベッドで一緒に眠る。抱き締めてくれても、直に触れてくれないのは、きっと軽蔑しているからだろう。
浩輔の腕の中で眠りながら、朔は、あの白い羽の少女の絵を思い出す。
こちらを見透かすような鋭い眼光。
薄く開いた赤い唇から漏れ聞こえてきそうな吐息は、甘い呪文のように脳を痺れさせて、見るものを何も考えられなくさせてしまうのだろう。
もしかしたら、あれは浩輔自身を描いたものなのかもしれない。
あの絵の少女は、いつかは羽を広げて自由に羽ばたいて、自分の目の前から再び姿を消すのだろう。
浩輔がいなくなったら……。朔はそう考えただけで、目頭が熱くなると同時に恐怖で身体を震わせた。
浩輔に抱き締めてほしいと思ったのは、彼の腕の中だけが、唯一生まれ変われる場所だと信じているから。でも本当は、彼の前に立つことさえ許されないほど穢れていると知っている。
「心も身体も弱ってるときにすると、おまえ俺に惚れるだろ」
ふっ、と口元を緩めてそう言った浩輔に肩を抱かれて、彼のベッドで一緒に眠る。抱き締めてくれても、直に触れてくれないのは、きっと軽蔑しているからだろう。
浩輔の腕の中で眠りながら、朔は、あの白い羽の少女の絵を思い出す。
こちらを見透かすような鋭い眼光。
薄く開いた赤い唇から漏れ聞こえてきそうな吐息は、甘い呪文のように脳を痺れさせて、見るものを何も考えられなくさせてしまうのだろう。
もしかしたら、あれは浩輔自身を描いたものなのかもしれない。
あの絵の少女は、いつかは羽を広げて自由に羽ばたいて、自分の目の前から再び姿を消すのだろう。
浩輔がいなくなったら……。朔はそう考えただけで、目頭が熱くなると同時に恐怖で身体を震わせた。