欲しがりなくちびる
朔が浩輔のことが好きだと気付いても何の行動もとれずにいるのは、幼馴染、そして姉弟という枠に捕らわれているからだけではなかった。
失うことの怖さ、それよりは、浩輔は望んでも手に入らない男、そうどこかで決めてしまっている自分がいるからだ。
まだ恋も知らなかった朔の身体の一番深いところに初めての男を刻み付けた浩輔が与えたのは、甘く疼く治りかけの切り傷のように、自分の心までをも分からなくさせる、どうしようもないもどかしさだった。
どんなに身体を繋げても、朔が目覚める頃には浩輔がいたはずのシーツは温もりを失い冷たくなっている。彼のの朝は早く、恐らく始業時刻の一時間以上前には会社に着いているのだろう。それは、朝方近くまで身体を重ねていたとしても変わることはなかった。
愛の言葉を囁いて欲しいわけじゃない。
ただ、浩輔の胸も痛んだり苦しんだり、踊るように跳ね上がったりして、それが全て自分のせいだったらいいのにと朔は思う。
抱き合っても何も変わらない関係。
それが、長い時間をかけて出来上がった、あるべき形なのだろうか。
二人の間にセックスがなくなった時、その先には何が待ち受けているのだろう。身体を重ねる毎にますます馴染んでいく肌は、浩輔を厭きることを知らずにいるというのに。
失うことの怖さ、それよりは、浩輔は望んでも手に入らない男、そうどこかで決めてしまっている自分がいるからだ。
まだ恋も知らなかった朔の身体の一番深いところに初めての男を刻み付けた浩輔が与えたのは、甘く疼く治りかけの切り傷のように、自分の心までをも分からなくさせる、どうしようもないもどかしさだった。
どんなに身体を繋げても、朔が目覚める頃には浩輔がいたはずのシーツは温もりを失い冷たくなっている。彼のの朝は早く、恐らく始業時刻の一時間以上前には会社に着いているのだろう。それは、朝方近くまで身体を重ねていたとしても変わることはなかった。
愛の言葉を囁いて欲しいわけじゃない。
ただ、浩輔の胸も痛んだり苦しんだり、踊るように跳ね上がったりして、それが全て自分のせいだったらいいのにと朔は思う。
抱き合っても何も変わらない関係。
それが、長い時間をかけて出来上がった、あるべき形なのだろうか。
二人の間にセックスがなくなった時、その先には何が待ち受けているのだろう。身体を重ねる毎にますます馴染んでいく肌は、浩輔を厭きることを知らずにいるというのに。