欲しがりなくちびる
「そうだね。真一君のママやパパや、真一君の兄弟は真一君を触ってもいいし、真一君も触っていいんだよ、家族だから。でも、真一君が家族以外の人に触るときは、仲良しのお友達や、いいよって言ってくれる人じゃないとだめなの。そうじゃないと、真一君は痛くするつもりはなくても、れいこ先生みたいに勘違いして怒っちゃうこともあるんだよ。真一君はそれを知らなかったから、真一君が悪いんじゃないんだよ」

「……でも僕、れいこ先生に嫌われちゃったのかな……」

しゅんと肩を丸めて小さくなる真一は、何だか子供の頃の浩輔みたいで可愛いらしい。幼い頃の浩輔も表情豊かにコロコロ変わって、今とは違いもっと分かりやすかったな、と朔はふと思う。

「そんなことないよ。きっとびっくりしただけだよ」

「本当?」

「うん。大丈夫。月曜日に学校に行って、まだれいこ先生が怒ってたら教えて?」

真一は大きく頷くと、またいつものように訳の分からない絵の続きを描き始めたから、朔も教室の準備に戻ることにした。

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