幼なじみの溺愛が危険すぎる。(後編)
「この公園、こんなに小さかったんだね?」


ジャングルジムのうえからぐるりと公園を見回す。


「もっと、でかいと思ってた」



玲音がサラサラと髪を揺らしながら目を細めた。


「りりちゃんとさ、ここでよく願い事したよな」



「一番星にお願い事をひとつだけってやつ?

星に手が届きそうだって玲音が立ちあがって落ちかけたこともあったよね」



思わず笑うと、玲音が頬を膨らませた。



「俺さ、実はいつもふたつ願い事してたんだ」



静かな公園に玲音の声が優しく響く。




「りりちゃんはなんてお願いしてたの?」




「ずっと同じ…。おばさんの病気が治りますようにって。玲音は?」



そう言って、玲音の顔をのぞき込んだ。




「ひとつは母さんの病気がよくなりますように。

もうひとつは、りりちゃんとずっと一緒にいられますようにって。


まだ入院してるけど、母さんは元気でいてくれるし、
りりちゃんとは今でもこうして一緒に過ごせてるから、

願い事ちゃんとかなってるのかもな」



夜空をゆっくりと仰ぎながら、玲音は穏やかな笑顔を浮かべている。



「じゃ、久しぶりにお願い事してみようか?」



「だな」




夜空を見上げて願い事をしばらく考えてみたけれど、やっぱり私の願い事は今でもかわらない。

< 88 / 203 >

この作品をシェア

pagetop