妖刀使いの月姫
ままとの約束はたったの2つ

1つは『満月を見ないこと』
2つ目は『辛くなったら帰ってくること』

この2つだった。


「まま、我儘言ってごめんね?」
「何言ってるの?美織が我儘言うなんて初めてじゃない!
そんなの嫌だけど聞いてあげるわよ♪」


そう、私は今日初めて我儘を言ったのだ。
生まれて物心ついた時からお父さんっていう存在が居なくて私がお母さんを支えてあげなきゃってずっと思って過ごしてきた。
だから、今日言った我儘が私が覚えている範囲では人生初の我儘。


「そういえば住む場所は?」
「1丁目の桜マンションだよ」
「あら、学校のすぐそばじゃない」


美織が通っている学校は電車で2駅先の辰岡高校。
私立の中ではトップの学校だ。


「まま、今日は学校休むね?
荷物まとめちゃいたいの。明日満月でしょ?」
「そうね…分かったわ!学校には適当に理由つけてお休みにしておくわ」
「まま、ありがとう♪」



美織は自分の部屋に戻り荷造りを始めた。
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