【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「あらごめんねぇ、もうクリームパンないのよぉ」


露李が購買に顔を出すなり、顔見知りのおばちゃんが残念そうな顔をした。


「そうですよねー」


パンの籠を見てもろくなものがない。

豚カツエビカツパン、イナゴの佃煮サンド、春巻き風生春巻きパン───え?

頭で読み上げたところで固まる。

豚カツエビカツパンはカツしかないが、それはこの際どうでも良い、イナゴの佃煮サンドと春巻き風生春巻きパンとは。

イナゴの佃煮がどこかの郷土料理なのは知っているものの、それを購買でサンドにして売るというのは何なのか、いや、どうしたのだろうか。


しかもか春巻き風生春巻きは結局春巻きなんじゃないのか。

名前も長く、パンなのか、春巻なのか。

ろくなものがない。  

えええ、と引き気味で眺めているとおばちゃんの笑顔が目の前にあった。


「どれ買うの?」


単なる口実で購買に来たのだが、何も買わずに戻るわけにいかない。

スカートのポケットに入れてある財布を出そうと、

──ない。

教室の鞄に財布を入れっぱなしなのを思い出した。

今日は色々と締まらない一日らしかった。

どうしようかと困っていると、後ろからひょいっと伸ばされた手と五百円玉が出された。


「おばちゃん、ココアとカフェオレ」


少しぶっきらぼうな声。


「疾風…」


「はい、お二人さん」


温かいペットボトルを受取り、疾風について購買を出る。


「ありがとう」


「俺は別に、飲みたかったから買っただけだ。カフェオ
レと迷ってたけどどっちかしか飲めないだろ」


そう言ってココアの蓋を回して開け、口に含む。

案外甘党なんだな、と思いながら露李もカフェオレの蓋を開けた。


「それに、お前」


思い出したように振り向く。



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