【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
グチャグチャの料理って何よっ、と睨む。


「料理がグチャグチャってよく分かんないし…」


「卵焼きと称した外は黒焦げ、中はドロッドロのあれは何だったんだよ」


うっと黙りこんだ。

海松が出かけているとき、卵焼きを焼いておこうとして失敗したことがある。

そんなでも疾風は全部食べてくれたのだが。

結局は食べてくれたので、露李は何も言えずに口を閉ざした。


「お前、食べるのは一流なのにな」


「うるさい」


嬉しくないわ、と唇を尖らせる。


「ああ、そう、あれ。疾風は何してたの?」


「露骨に話変えるなよ…。俺は結界張ってたんだよ」


今度は露李が不安そうな顔をしたので、疾風は優しく笑みを浮かべた。


「心配すんな、破られてたとかそんなんじゃないから。この神社内の気が大きすぎただけだ、強化するのは大事だろ」


「…ありがとう」


「俺はお前の守護者だからな」


言われたそれがやたらと嬉しくて、弛む口許を下を向いて隠す。


「どうした?」


「何でもない」

疾風は怪訝そうに露李を見ていたが、やがて視線を庭に戻した。


「ああ、そういや水無月は?珍しく傍にいないんだな」


思い出したようにそう言うと、露李はふにゃりと無邪気に笑う。
 

「氷紀兄様は剣道場で剣術の稽古。またあの剣が見られるんだよ」


「ここ、神社じゃなかったか…?剣道場とかあって良いのか…?」


「家の敷地だから。ほら、空いてる蔵があったでしょ」


ああ、と頷くも、何でも有りだなと遠い目。


「行かなくても良いのか?見たかったんだろ」


少ししてから思い出したように尋ねると、露李はうーんと首を捻る。


「稽古は見られたくないらしいから。なんか本番を見て欲しいって言ってたけど…何の本番よって感じだよね」


「俺は分からなくもないが…」


水無月はあれだけ露李を溺愛しているし、好きな子には格好良い姿を見て欲しいという気持ちは分かる。


「男のプライドってやつ?」


「まあな」 


「えー、いる?それ」


「本気で水無月が可哀想になってきたぞ俺は」


さらっと放たれた暴言に、はああ、と溜め息をつく。 
今、猛特訓をしているであろう水無月を思い浮かべ、心の中で合掌。

憐れむような目で遠くを見る疾風を横目に見て、露李はまた嬉しそうに微笑んだ。 

疾風と二人で話すのも久しぶりだ。


「不気味だな」


「ちょっと、他に言い様はないわけ?」 


「控えめに言って、気持ちが悪い」


「控えめに言いなさいよ」


「毒舌鈍感な姫様には分からないだろ」


「どの口が…」


ぽんぽんと言い合っていると、ズシズシと雪を踏み締める音が聞こえてきた。

誰かなー、と呑気に露李が考えていると、


「あ、露李ー……と、疾風かよ」


不機嫌MAXな理津が姿を現した。




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