【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「何してんだ、てめぇら」


「ちょ、理津何でそんな不機嫌なのよ」


眉間に皺がくっきりと寄っていて、怖い事この上ない。

単純に狼狽える露李を半ば呆れ顔で見やる疾風。


露李が見えた瞬間には柔らかく微笑んでいたことに気づいていないのが、この風花姫の困った所であり可愛い所だ。


「べーつにー?てめぇらが何してようと関係ねぇしー?俺は何も言わねぇよ?」


「ものすごく何か言いたそうだぞ」


いつもは騒がしい結がいるせいか、割合、大人な対応をしている理津だが、今はなぜだか子供のようである。


「理津ー座りなよー」


そんな空気を破ってトントンと自分の隣を叩く露李。


「寒くねぇのかよ」


ったく、と言いつつ理津は指定されたそこへ座る。

そして左手を上げたかと思うと、紫の炎を次々に浮かばせた。


「わー温かい」


「ふうん」


気のない返事をしながらも、その紫の目だけは満足そうに細められている。


「こうやって三人で居るのも久しぶりだよね」


学校があるときは同じクラスでよく一緒に過ごしていたものだが。


「…いつの間にか年も明けてやがるしな」


理津が不服な顔で溜め息をついた。


「まぁどう考えてもハッピーニューイヤーって感じじゃなかったよね」 


「確かにそうだな」


「しっかし、この神社年始も人来なかったな」


「仕方ないよ、花霞から普通の人でも分かるくらい妖気出てるんだし」


露李や水無月、守護者のように妖気が分かるわけではないが、それに拒絶心が生まれる程には感じるらしい。


「まあ、来ない方が俺たちにも都合が良いんじゃないか?」


そうなんだけど、と相槌を打ち、少し考えるような仕草をしてから口を開く。


「学校、どうしよう」


自分が学校にいるとき、一人になる確率は高い。

そこで襲撃があったら。


関係のない人も巻き込むことになるし、真の姿を現せば元の学校生活に戻れるかどうか。

露李は難しい顔で頬に手を当てた。








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