0の可能性
「はい、どうぞ」
そう手渡されたのは、茶色のシートに包まれた、
ピンク色の薔薇が7本────
「わあ、可愛いですねこれ。くれるんですか九条さん」
「今日の君とのお喋りもいい記念かな?って思ってね」
にこり優しく笑う諒陽に、ゆかりは少し赤面した。それを隠すように薔薇に目を向ける。
人から花を貰ったことがほとんど無いので(貰っても卒業式とかぐらいよね)本当に嬉しい。
「車とってくるから少し待ってて」
「あ、ぜんぜんお構いなく――…」
先に帰っちゃっていいですよ、と言おうとしたらそこにもう九条さんはいなかった。自由な人だな…帰りたいなら“帰りたい”って言えばいいのに。変な人。
「はー、さむ」
「春と言ってもまだ4月ですものね」
ゆかりの独り言を拾ったのは、フフっと笑った花屋の女性だった。