恋と部活の両立法
「だから将来は人の役に立つ仕事をしたい。
それからみんなを笑顔にしたい。
それが私の夢。」
弁論大会の作文を読み切った後のように満足そうな顔を俺に向ける先輩。
「あれ?優くん。顔赤くない?
熱でもあるの?」
俺の顔を覗き込みおでこに手を当てようとする先輩を急いで払いのけた。
その際に叩いた先輩の手からバチッ!っと乾いた音がする。
「痛いなー。優くん。反抗期?」
「すいません…。」
バカだ俺。
先輩に怪我でもさせたらシャレにならないじゃないか。
「いいよいいよ。私もちょっと馴れ馴れしくしすぎちゃった。
あ、優くんの家こっちだよね。
私の家はこっちなの。」
先輩は信号のところで左側をさす。
俺の家は右側だ。
「どうして俺の家知ってるんですか?」
「うーん。それは…
また、別の機会にゆっくり話そ!
ってもう日ないねー。
じゃ明日にでも!」
横断歩道をタッタッタっとリズムよく渡っていく先輩。
信号が赤に変わると先輩は振り返り俺に大きく手を振った。
「優くーん。
また、明日ね!」