ともだちからの卒業



教室へ入り、席に座ると、転入生が挨拶をするかしないかの目つきでわたしを見る。



お願い。みないで。



奈美がみてるの。



あなたまでいじめられるの。



いえないけど、わかって。



お願いだよ。



予想してたことが起こってしまった。

「おはよう!」



教室にいるみんなにはきっと聞こえた。



奈美にも聞こえた。



ちらっとみると、すごくわたしを睨んでる。



「……」


「おはよう?」


こう言うしかなかった。

「……わたし、1人でいたいの!…だから、そうやって…話しかけられるの、迷惑なんだよね!!!!やめてくれるかな!」



こう言えば奈美からいじめられない。




にらまれない。




ごめんなさい。こんな風に言っちゃって。ごめんなさい。転入生。ごめんなさい




「…」

転入生は黙ってわたしの目をみる。



そんなわたしの目には涙がたまっていた。その涙が流れるまえに教室を出た。



「ゆあちゃん、ひどいね〜!今の。大丈夫?」




奈美たちはその時を待っていたように転入生に話しかけたんだろう。




でも、これで呆れられた。


よかった。



「大丈夫!ありがとう。…ごめんあたしトイレ行ってくるね」
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