シャッターの向こう側。
 役得……って事かな。

 こんな豪華なお部屋、私の給料じゃ絶対に無理!

 てか、なんでこんなお部屋なんだろうかなぁ。


 ……結論。


「……ま。考えても仕方ない」

 荷物を置いてキョロキョロしていたら、バイブにしたままのスマホが動いた。

「はい」

『ああ、神崎か?』

 淡々とした声が聞こえて、目を細めた。

 そりゃ私のスマホに、私以外の誰が出ると言うんだ。

『たぶん、これも聞いていなかったろうから言っておくが……』

「はい?」

『ここのパンフも、うちで造るから』

「……は?」


 パンフって……パンフレット?


『お前の写真……広告だけじゃなく、案内用のパンフレットの方にも使うから、覚えておけ』

「…………」


 ちょっと……待て。


 つまり、オープニングの広告以外に、通常用の案内パンフレットも今回作ると言う訳なのか?


『ちなみに、ウェブページの方は坂口が担当するから……お前、パソコンは持ってきてるか?』

「……いいえ」


 ウェブデザイナーの坂口さんの名前を聞いても、どうもボンヤリとしていた。


『解った。じゃ、坂口の方は俺のパソコンを使うことにして……デジカメの記憶媒体はカードだよな?』

「あ、はい」

『解った。じゃあな』

 切ろうとする雰囲気に、思わず声を上げていた。

「ちょっ……ちょいとお待ちを!!」

『……お前は時代劇の人間か』

 いや、その言葉には色々と言いたい所があるが、とりあえずはスルー。

「あの……大きな仕事なんですか?」

 スマホの向こうで沈黙が落ちた。

 この沈黙は……

「やっぱり、なんでもないで……」

『……脳天気だな』


 言われると思った!!


『お前でも、この仕事の受注金額くらいは知っていると思ったが?』

 はい。

 なんとなく聞いています……


『とにかく、その金額に見合う仕事をするんだな』


 そう言って、通信が切れた。


 ああ……


 今更だとは思う……


 思うけど……




 誰か代わってくれ!



 ある意味、切実に。















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