シャッターの向こう側。
「……人殺しはいけません」

「やぁね。生きてるでしょ!」

 先輩はカラカラ笑って、椅子を引き寄せるとそこにドカッと座った。

「ま。トラックが来た時には、さすがの私もビックリしたわ」

 深く頷く先輩に、ポカンとする。

 ……ビックリ所の騒ぎじゃないと思う。

「で。時に神崎ちゃん。今ヒマ?」

「え? 今……?」

 今はお昼ご飯だから、忙しくない。

「は……」

「コイツは忙しいぞ。他を当たれ」

 低い声に顔を上げると、加納先輩の後で仁王立ちしている宇津木さんがいた。

「何故、いつも仕事をピヨに持ってくるんだ、お前は」

 何故か不機嫌だけど。

「だって、神崎ちゃんて可愛いんだもん。アイツは可愛くない」

「いつもお前が無理難題を突き付けるからだろうが。だいたい正確さでは今野の方が上だ」

 ちょっとカチンときそうな言葉だけど、どこか納得。

 私は〝正確さ〟は求めてないし。

 でも今野さん?

 今野さんて、グラフィックデザイナーの今野さんだよね?

「私とは畑違いだと思うんですが」

 眉を上げた加納先輩と、溜め息をついて席に座る宇津木さん。

「ピヨらしいって言ったら、らしい言い草だな」

 そう言って、宇津木さんは一枚の写真を見せてくれた。

 それはこの部内のメンバーが写った写真で……


 でも、何故か荒木室長の隣に有野さんもいたりする。


「一昨年の部が別れる前の写真だな。こっちが今、ここのグラフィックスの今野。で……」

 宇津木さんは今野さんの後、サングラスをかけた男の人を指差す。

「で、こっちが俺らの一年後輩にあたる今野の兄貴。奴はフォトグラファーだ」


 はぁ?

「会ったことないですよ?」

「……だろうな。お前が入る前にフリー契約してるから、会社にはたまにしか来ないし」

 ちらっと私を見て、肩を竦める。

「最近は加納のせいで出勤も増えてるはずだが……お前、少しは周りを見たらどうだよ?」

「あはははは」

「笑ってごまかすな」
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