シャッターの向こう側。
「私にも失礼ですっ!」

 さすがの私も、プッツンしますよ!

「ギャースー喚くなよ。うるさいから」

「そもそも、その元凶が何を言います!」

「あ~。確かに」

 坂口さんの合いの手が入り、キッと私達は彼を睨んだ。

「坂口さんはおとなしくしてて下さい!」

「お前は黙ってろ!」

 同時に叫んで、お互いに相手をじろっと睨む。

「今日はやけに絡むな?」

「今日に限らないですよ」

 そりゃ、今までは心の中で毒づいてましたからねっ!!

「だいたい、宇津木さんて遠慮容赦がないんですよ!」

「お互い様だ」

 って……

 何だか、自覚はあるのか?

 そう思った瞬間ますますムカッとした。

「直すつもりはないわけですかっ!!」

「ないな」

「その物言いが、そもそもムカつくんですよ!!」

 宇津木さんは目を細め、ついでに眉もしかめた。

「俺は何でも知ってます~! みたいなしたり顔で、何かある度にからかって! ポカスカポカスカ叩くし!」

 パチンと御箸を置いて、荷物を肩にかけた。

 これ以上、この人の顔を見るのも嫌だ。

 同じ空気を吸ってるのも嫌。

 何だか意味不明にムカつく!

「だいたいフォトコンだって好きで落選してる訳じゃないんですっ!! 今年もダメだったのか、とか、絶対に言われたくないんですから!!」

「事実だろうが」


 この男は……っ!!


 思わず荷物の中に手を突っ込み、掴み取ったものを握りしめた。


「事実は耳に痛いんですっ!!」


 投げつけたそれは、スコーンと見事に宇津木さんの顔にヒットした。


 ……たぶん未使用のフィルムだろう。
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