シャッターの向こう側。
「あんたの基準は足なわけ?」

 冷たい視線が痛いな、我が友よ。

「目についたから」

 コーラを飲み飲み呟くと、グラスの中で氷がカラン……と、小さな音をたてた。

「坂口さんて、私のどこが良かったんだろう?」

 これはホントに、今回最大の謎だ。

 〝好きになる理由〟なんてない、みたいな事は言われたけど、何かしらきっかけはあると思うんだ。

「う~ん。難しい問題点ね」

 ……てか友達なら、そこで悩まないで何かコメントしてちょうだいよ。

「佐和子が冷たい」

「いつもと変わりないでしょうが」

「うん。まぁ、そうだ」

「少しは否定しろ」

 軽く小突かれて笑った。

「でも、私はてっきり宇津木さんとどうにかなると思っていたわ」

「ぶ………っ!?」


 コ、コーラ、コーラが鼻に……!!


 ハンカチを差し出されて、慌てて引ったくった。

「有り……!! 絶対に有り得ないって!!」

 思い切り否定すると、佐和子は頬杖をついて軽く手を振る。

「はいはい。まぁ、坂口さんと付き合う事にしたなら関係ない話よね」

「当たり前よ! だいたい宇津木さんには彼女さんがいるし、そんな面倒はごめんだって」

「いいの、いいの。気にする事じゃないわ」

 ……その言い方なら、余計に気になるんだけど。

「……何」

「別に~? あんたが決めることでしょ」

 いつの間にか食べ終わったチーズケーキのお皿にフォークをぶつけながら、佐和子は軽く首を傾げた。

「んな事より、出張は面白かった? 宇津木さんて独特だって聞いたけど」

「大変だったよ。あんな風にやったのは初めてだし」

「あんな風?」

「アートディレクターからの指示がないんだよね。いつもなら何を撮って欲しいかくらい指示があるんだけど」

「自由でいいじゃないの」

「自由過ぎると逆に困る。だけど、今までどれだけディレクターの言いなりだったか実感できた」

 そう言った事で、いきなりストンと理解できた。

 指示を受けて写真を撮るだけなら、確かに写真館の人間でも撮れるか。

 それなら、フォトグラファーなんていらない。

 写真を使う時に雇えばいい。

 だけど……
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