シャッターの向こう側。
「坂口さん。有野さんってどういう人なんですか?」

 MP3の件を持ってきた時は、にこやかな人って印象を受けたけど。

 あのにこやかさは、坂口さんに共通するよな~……なんて。

 ……と、顔を上げて目を丸くする。

「何故、頭抱えてるんですか?」

「え? いや、ううん。神崎ちゃんて、自分の興味があるものにまっしぐらだよね」

 ……そんな、ネコまっ○ぐらみたいに言われても。

 かなり昔、子供の頃に見たCMだけど、あのキャッチフレーズは大好きだったなぁ。

 また、CMに出てるネコちゃんがかわゆくて。

「坂口さんて、猫好きですか?」

「神崎ちゃん、かなり唐突だよね?」


 ……そうかも知れないデスネ。


「有野さんはつかみ所が難しいんじゃないかな。男と女じゃ、意見は違うと思うけどさ」

「へぇ~」

 頷いて、付け合わせのパンをちぎった。

 しかし、どうしようか。

 有野さんに頼まれた画像処理は、もう終わったから特に問題ないとして。

 ホイホイと渡された仕事を引き受けていいもの何だろうか?

 普段は室長から頼まれるんだけどな。

「……で? 神崎ちゃんは今、何を悩んでるわけ?」

 ふと顔を上げると、坂口さんの笑顔が見えた。

「や。室長を通さなくてもいいのかな……と思いまして」

「ん? いいんじゃない? 君のとこの室長は荒木マネージャーでしょう? さすがに部署が違うなら通さないとまずいけど、部内だったら平気だよ」

 坂口さんは頷いて、クスクスと笑った。

「それに、宇津木の事だから、ちゃんと〝事後報告〟すると思うし」


 事後報告?


 不思議そうな顔をしたら、坂口さんはカフェオレを飲みながら頷く。

「昔から宇津木はそうなんだよね。思いつくままに行動して、後から〝こうしましたから〟って終わらせるの」

「単細胞なんですね」

「ブハッ……っ!!」

「だだだ大丈夫ですかっ!?」

 カフェオレを吹き出した坂口さんに、慌ててペーパーナプキンを山の様に渡す。

「火傷しません? 生きてます?」

「う、うん。大丈夫」

 笑いながら手を振り、零れたカフェオレをナプキンで拭いた。
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