シャッターの向こう側。
「そんなことよりさ。今日は何時頃に上がれそう?」

「退社ですか?」

「うん。昼がここって事は今日はデスクワークでしょ?」

「そうですねぇ……」

 デパートの中元用の写真は明日だし、今日は細々した処理をするだけだから残業もないと思う。

「18時には上がれそうです」

「じゃ、ご飯食べて帰ろうよ」

「あ。いいですね」

 手を打ったら坂口さんは微笑んだ。

「何か、食べたいものはある?」

 はい!

 とっても気分的に食べたいものがっ!!

 ニコニコする私に、坂口さんもニコニコしてくれる。

「坦々麺が食べたいですっ」

 坂口さんは一瞬笑顔で固まり、

「……麺が好きなんだね。こないだも麺じゃなかった?」

 と、首を傾げる。

「はいっ!!」

 大好きですから☆


 でも、連続はまずかった?


「じゃ、18時半くらいに、ロビーで待ち合わせしよう」

「解りました。じゃ、サクサク終わらせちゃいますから」

 そう言って、お昼休憩も終わり会社に戻った。


 戻ってみると、まだ隣の席は空で、とりあえずは渡された書類を見ながら肩を竦める。

 書類を見ている視界の隅に、何本も転がったカラフルなペン。


 ……まずは、デスクの上を整理した方がいいかも知れないな。

 散乱しているペンをちゃんとペン立に立てていると、荒木さんが奥のデスクから顔を上げた。

「神崎さん」

「はいっ」

「隣の部署から、また厄介事らしいんだ」

 ……何故。

「厄介事ですか?」

「ああ。写真を撮ってほしいって。どうかな?」

 いつも思うけど、荒木さんの頼み方はとても妙だ。

「う~……厄介程度によります。宇津木さんからも厄介事が」

 荒木さんの片眉がひょいと上がって、持っていたペンを鼻先に当てるとニヤリと笑った。

「ははぁ……そりゃ相当な厄介事だな? 解った解った。有野の唐変木には上手いこと言っておくよ」

 そりゃ、相当上手いこと言っておいてください……

 ニコニコ顔の荒木さんにボンヤリしていたら、いきなり後ろから頭を叩かれた。
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