精一杯の背伸びを

愚者の涙







 結局、その日は眠れなかった。


 仁くんのことばかり考えてた。


 どうして?


 答えがないのに、問い続けた。


 朔ちゃんと小夜ちゃんはスキー場に行った。


 熱がある私を一人にするのは気が引けたのか、行かないと言っていた。


 だけど、私が無理やり追い出した。


 せっかくの旅行を台無しにして欲しくなかった。


 いや、もう昨日私が台無しにしてしまった。


 気分を害しただろう。


 それなのに彼女たちに気遣われるのは、苦痛だった。


 そして一人になりたかった。














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