イケメン弁護士の求愛宣言!
「え? 来島先生の匂い?」

ほんの一瞬戸惑ったけれど、事務所を出てすぐに先生に抱きしめられたことを思い出す。

真斗さんとの仲を話したことばかり頭にあって、すっかりそのことが抜けていた。

「そうだよ。この匂い、秀一の匂いだろ?」

たしかに少しスパイシーで辛口な香りは、時々先生から匂ってくるけど、まさか真斗さんが気付くなんて思わなかった。

どこまで鋭いんだろう。

その驚きが強くて呆気にとられていると、真斗さんはますます表情を険しくした。

「なんでなんだ? おかしいだろ」

「そ、それは……」

ヤバいなあ。

本気で怒っているみたいだから、話さなきゃいけないとは思うけど……。

そしたら、来島先生が私を好きなことも、私たちのことを喋ってしまったことも説明しないといけない。

バラしてしまったことは話せるとしても、先生が私を好きだなんて、どう説明すればいいんだろう。

「と、とにかく中で話そうよ。ここ玄関だし」

私より背の高い真斗さんに、怖い顔で見下ろされると威圧感がすごい。

渋々ながらも、真斗さんは言われるがまま部屋の奥へと進んでいく。

「ソファーはないから、そこのベッドに座って」

笑顔を取り繕う私に、彼は険しい顔を崩さないままベッドへ座る。

私も隣に座ると、さっそく続きが始まった。

「由依子、話してくれないか? なにかあったんだろ?」
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