イケメン弁護士の求愛宣言!
「え? 美織さん、私たちのことを知ってるんですか? それに、いい迷惑って……」

雑誌をおさめると、美織さんが少し離れろと目配せをする。

それは、店から離れろという意味らしく、私たちは建物と建物の間の小さな路地に入った。

「時々ね、彼とは裁判所とかで会うことがあるのよ。それに、共通の知り合いの検事や弁護士もいる。私や彼らに映る真斗は、今までの真斗じゃないわ」

腕組みをする美織さんは、悔しいけれど私より数倍キレイで知的で、そんな格好ですらサマになっている。

そんな彼女に負けまいと思いながら、握りこぶしを作った。

「今までの真斗さんじゃないって、どういう意味なんですか?」

「あなたと付き合ってから、彼ってば仕事を早く切り上げようとするし、今日だって勉強会に誘ったのに断られたのよ。こんなの初めて」

吐き捨てるように言った美織さんは、憎らしげに見た。

「私、全然知らなくて……」

仕事の話をされると、返す言葉もない。

早くも意気消沈してしまい、うつむいた。
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