恋が都合よく落ちてるわけない
プリンターの不備はすぐに解決した。


呆気ないほど、落合君の出る幕もなく。
ちょっとした操作で動き出した。


まあ、ありがちな大したことない原因だ。
私も、下田課長も慣れてしまっている。
こんな風に呼び出されるのは。


私が、書類を書いている間、
落合君は、依頼してきた女の子の
何でも質問したい攻撃にあっていた。



まあ、質問して、話す時間を引き延ばしたいっていうのは、みえみえで、

私は、落合君て、全然女の子に
優しくないのに、

何で、そんなに人気があるんだろう
と不思議に思っていた。


私は、書類を書き終え、
何気なく、その女の子の机の奥を見た。




たこあし配線、発見…♡




「話してるとこごめん。
いったん配線抜くね」



「ちょっと待ってぇ…」
猫なで声で言っても説得力ないよ。



女の子が、落合君と、私の頼まれ事の間でどっちをとるのか迷っている。



「シャットダウンすれば?」
落合君が、言った。


「はい」



私は、待ちきれずに、
シャツを腕までまくり、
机を手前にずらした。


机の上から覗き込む。


パソコンだけでなく、
分岐にさらに分岐をして
コードがつながっていた。


「これは、すごいね」


「おい、そんなことまで
面倒見ることない。」


既に髪もゴムでまとめている。
「埃もたまってるし、
放置してると危ないよ」


私は、コンセントを引っ張り出そうと
床に四つん這いになった。


机に頭を突っ込んで、
もぞもぞしていたわけだが、


いきなりおしりの辺りを
何かでパチンと叩かれて、
ぎゃーっと、悲鳴をあげた。


「何?痛っ…」


後ろに下がると、
落合君がスリッパを持って立っていた。


「お前、セクハラにあったって、
被害者面してるけど、

そんな格好で這いずり回ってたら、
いつ後ろからぶっこまれても、
文句言えねえだろう」


「クスッ」という笑が漏れた。


「痛ってば、もう…」

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