恋が都合よく落ちてるわけない
「よぉ!」

須田さんは、久しぶりに顔を見せに
私たちのフロアまで、下りてきた。

空いてた落合君の席に座ってもらい、
熱いコーヒーを入れた。

「電話くれただろ?」

わざわざその事で、来てくれたの?

「たいした用事じゃなかったの。心配かけてごめんなさい」

「こっちこそ、時間作るって、言ったのにすまない」

頭をポンと叩かれ、
一瞬だけ、肩に腕を回す。

「ちょっと、話がある。下にこられる?」

「ええ」

私は、下田課長に断ってビルの地下にあるコーヒーショップに行った。

ミルクたっぷりのカフェオレを注文した。


待ってろというくらいだから、
すぐに姿を見せるのかと思ったら、
なかなか来ない。


「休憩終わっちゃう」と呟きながら、
時計を見た。


そうしてやきもきしてるところに、



「こんなとこで何してるの?
と声を掛けられた」

「落合君…」


「何か、すごく迷惑そうな顔…」


「そりゃあ、迷惑だもん」
私も開き直った。


落合君は、自分もコーヒーを注文して、
私の横の席に陣取った。

何で飲み物何か買ってきて、
そこに座るのよ、
席なら他に空いてるし。何て言えず、
仁志さんが来る前に、
帰ってくれないかなと、ため息をついた。


それから、私たちは、
お互いに口をきかないまま
並んで座っていた。


「ごめん、遅くなって、あれ?お前、
なにやってんの?」


これは、落合君に向けられた言葉…
ん? どういうこと?


仁志さんは急いで来たのか、
息が上がってる。


あと少し、早くきてくればこんなやつに
会わなかったのに。


「二人で来たの?」
私は、首を振る。


「いつも一緒ですからね。俺達」

何?初耳だ。

「お前、俺達に遊んでもらいたいからって、千鶴にちょっかいだすのやめろ」


「そんなん関係ないでしょ?」


須田さんは、落合君の頭をつかむと、
グシャグシャにした。

「この、クソガキ」
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