~Still~
一歩、また一歩とエレナに近づきながら、颯太は掠れた声でそう言った。

見ずに置いたペットボトルが直ぐにテーブルの上で倒れ、床を転がる。

エレナの目の前まで来た颯太の髪から、小さな雫が裸の胸に伝い、スッと透明な線を描いた。

「……僕が、どんなにあなたを好きか」

精悍な頬を傾けて、颯太は僅かに瞳を細めると、ユラリと片腕を上げて、手の甲でエレナの頬に触れた。

「僕は……俺は……」

ダメだ、妬けて妬けて、我慢できない。

言いたくない本音が、口を突いて出そうになる。

颯太はグッと唇を引き結んだ。

エレナは、そんな颯太を見ながら凛とした声で言った。
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