~Still~
「ちょ、ちょっと待って」

エレナは、自分に触れている背の高い男を見上げた。

男はチラリとエレナを見てから直ぐに視線をそらして前を向いた。

「何ですか?」

……何ですか?って。

どう考えても変でしょ。

私とあなたはたった今、初めて出逢ったのよ?

いくら、男から声をかけられるのに馴れていたとしても、女に声をかけ馴れているにしても、変だ。

「助けてくださってどうもありがとう。もうここで結構です」

もう少しで店の出入口というところで、エレナは男の歩調に合わさず、足を止めようとした。

するとそれに気付いた男は、エレナの腰に回した腕一本に力を込めた。
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