~Still~
木佐さんって……あの、ピッチャーの、隆也……。

「どうして隆也が出てくるの?」

隆也……。

颯太は苦しげに笑った。

「あのほんの一時の間に、あなたを拐われそうになった俺の気持ちが分かりますか?」

颯太は自嘲的に笑った。

「出会って間もないのに、『エレナ』、『隆也』と呼び合い、見つめ合い、酒を飲み合ったあなたたちを、俺がどんな思いで見ていたか分かりますか?」

颯太は尚も続けた。

「俺は……年下を嫌うあなたに、それを感じさせたくなかった。
年下だって思われたくなかった。
いつだって余裕があって、頼れる男だと思われたかった。なのに」

颯太は切なそうに笑った。
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