~Still~
「突然ごめんなさい。後1時間待ってお帰りにならないのなら出直そうと思っていたんですが、お会いできて良かったです」

「どうしたんですか?」

エレナは理恵に静かに問いかけた。

「お気付きでしょ?私があなたに会いに来た理由なんて、1つしかないわ」

エレナはコクンと息を飲んだ。

理恵の眼はエレナを真っ直ぐ捉え、その黒い瞳は、挑戦の光に満ちていた。

『神谷颯太についてよ』

高宮理恵の眼は明らかにそう語っている。

エレナは一瞬躊躇したが、この場で話す気にも、どこかでお茶を飲みながらという気持ちにもならなかった。

「部屋で話しましょう」

エレナは、理恵の脇を通り抜けてマンションへと進んだ。
< 230 / 351 >

この作品をシェア

pagetop