~Still~
エレナは心臓を掴み上げられたような感覚と同時に、喉の奥が張り付いたように痛かった。

理恵の行動がとてもスムーズで、思わず眼を見張る。

慣れ親しんだ場で、何処に何があるか、すべて知り尽くしているような無駄のない動き。

理恵は、眼を見開いて自分を見ているエレナに、勝ち誇ったような笑みを見せた。

「なに?その顔」

理恵は、可笑しくてたまらないと言ったように天を仰いだ。

「あなた女優でしょ?ちょっとはその驚き、隠せば?」

…………!

『あなた女優でしょ?ちょっとはその驚き、隠せば?』

たった今言われたばかりの言葉が、体の中のどこかにガツンと当たった気がした。
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