~Still~
颯太は俯いて唇を噛み締めていたが、部屋を出ようとしたエレナの腕を掴んで引き寄せ、胸に深く抱いた。

「エレナ、エレナ」

堰を切ったように、颯太はエレナの名を呼んだ。

フワリと颯太の匂いに包まれ、再び涙が出そうになる。

やだ、そんな風にしないで。

そんな声で呼ばないで。

エレナは、ギシギシと軋む胸の痛みに悲鳴を上げそうであった。

颯太の切ない眼差しとぶつかり、思わずエレナは息を飲んだ。

「俺のエレナ」

呟いた直後、颯太の唇がエレナの唇を塞いだ。

愛してるんだ、エレナ。
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