午前0時の恋人契約
「あーもう、どうしよー!!」
食事を終え帰宅した私は、ひとり頭を抱え叫びながらベッドへと飛び込んだ。
小さなアパートの1LDKの部屋に、自分の情けない声だけが響く。
どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。
彼氏なんていないし、今すぐ作れるわけもない。彼氏役を頼めるような相手もいない。
そもそも私、もうかれこれ7年くらい彼氏なんていないのに。しかもそれもあんまりいい思い出のない……いや、思い出すのはやめよう。
まぁとにかく、そういうわけで異性に縁はなく、免疫もあまりない。けど、どうにかしなきゃまずい。
出会い系サイトとかで探してみる?ううん、怖すぎる。
友達に頼んで合コンとかセッティングしてもらう?無理だ、まず打ち解けられる自信がない。
ていうか普通の人に『彼氏の振りでもいいから父に会ってください』なんて、頼んだところで絶対引かれるよね……。
あぁもう!どうして私あんな嘘を!いや、ああでも言わなきゃ乗り切れなかったけどさ。
彼氏役って割り切ってくれて、その期間だけの、終わったらすぐ他人になれるような、そんな人いないのかな……。
おもむろにバッグからスマートフォンを取り出し、なにかヒントはないだろうかと『彼氏役 割り切り』と検索をかける。
すると、画面にぱっと表示されたのは『レンタル彼氏』の文字。
「レンタル彼氏……?」
って、なに?
そう疑問に思いながらそのサイトへとび、まじまじと説明を読む。
「なになに……『レンタル彼氏とは、本物の彼氏のようにあなたにドキドキやワクワク、癒しや幸せを与えてくれる存在です』」
つまり、DVDのレンタルとかと同じように、お金を払って『彼氏』をレンタルして、どう過ごすかは自由……ということ。
ということは、頼めばその期間だけ私の彼氏役を演じてくれる。お父さんにも会ってくれる。
「これだ……!!」
なんていい条件!
まさしく思った通りの存在に、私はスマートフォンを両手で掴み期待に目を輝かせた。
幸い貯金はちょっとあるし、それならお金を払ってプロに任せるべきだ。
そうと決まれば即実行、日曜日なら会社も休みだから、その日にお店に行って話を聞いてこよう。
でも怖いから、お店選びも慎重にしないと……。
なんていったって、今後の私の人生が、かかっているのだから。