午前0時の恋人契約





「あーもう、どうしよー!!」



食事を終え帰宅した私は、ひとり頭を抱え叫びながらベッドへと飛び込んだ。

小さなアパートの1LDKの部屋に、自分の情けない声だけが響く。



どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。

彼氏なんていないし、今すぐ作れるわけもない。彼氏役を頼めるような相手もいない。

そもそも私、もうかれこれ7年くらい彼氏なんていないのに。しかもそれもあんまりいい思い出のない……いや、思い出すのはやめよう。



まぁとにかく、そういうわけで異性に縁はなく、免疫もあまりない。けど、どうにかしなきゃまずい。



出会い系サイトとかで探してみる?ううん、怖すぎる。

友達に頼んで合コンとかセッティングしてもらう?無理だ、まず打ち解けられる自信がない。



ていうか普通の人に『彼氏の振りでもいいから父に会ってください』なんて、頼んだところで絶対引かれるよね……。

あぁもう!どうして私あんな嘘を!いや、ああでも言わなきゃ乗り切れなかったけどさ。



彼氏役って割り切ってくれて、その期間だけの、終わったらすぐ他人になれるような、そんな人いないのかな……。



おもむろにバッグからスマートフォンを取り出し、なにかヒントはないだろうかと『彼氏役 割り切り』と検索をかける。

すると、画面にぱっと表示されたのは『レンタル彼氏』の文字。



「レンタル彼氏……?」



って、なに?

そう疑問に思いながらそのサイトへとび、まじまじと説明を読む。



「なになに……『レンタル彼氏とは、本物の彼氏のようにあなたにドキドキやワクワク、癒しや幸せを与えてくれる存在です』」



つまり、DVDのレンタルとかと同じように、お金を払って『彼氏』をレンタルして、どう過ごすかは自由……ということ。

ということは、頼めばその期間だけ私の彼氏役を演じてくれる。お父さんにも会ってくれる。



「これだ……!!」



なんていい条件!

まさしく思った通りの存在に、私はスマートフォンを両手で掴み期待に目を輝かせた。



幸い貯金はちょっとあるし、それならお金を払ってプロに任せるべきだ。

そうと決まれば即実行、日曜日なら会社も休みだから、その日にお店に行って話を聞いてこよう。

でも怖いから、お店選びも慎重にしないと……。



なんていったって、今後の私の人生が、かかっているのだから。






< 10 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop