午前0時の恋人契約



「で、その店っていうのは?」

「はっ!」



そうだった!お店!

手元の地図の存在を思い出しハッとして見ると、駅から真っ直ぐきて曲がって……とちょうど自分たちの今いるところが目的地のすぐ近くであることに気付く。



「この辺、ですね。確か黒い建物って言ってました」

「なんの店なんだ?居酒屋か?料理屋か?」

「なんなんでしょうね、私も桐子さんから『貴人が喜ぶこと間違いなしのお店』としか聞いていなく、て……」



話しながらキョロキョロと見渡せば、ふと視界に入る黒い建物。その外観に建物の中身は察せてしまい、言葉を失う私に、貴人さんは不思議そうにこちらを見た。



「なんだ?あったのか?」

「えーと……あったといえば、あったのですが……」



私が指差す先にあるのは、黒い壁にお札や提灯が飾られた、まるでお化け屋敷のような外観をした居酒屋さん。

白装束の長い黒髪の女性が青白い顔で立っており、『うらめし屋』とおどろおどろしい文字で書かれた看板に、そこはいわゆる幽霊居酒屋というものだと知る。



「地図の位置から見て、多分あそこだと思います……黒い壁はあそこくらいしかないですし」



恐る恐る隣を見れば、貴人さんの顔はピクピクと怒りに震えながらも青ざめ、なんだかすごいことになっている。



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