午前0時の恋人契約



「今のは……」

「わ、分かってますから!」



その言葉の先を、遮るように声を大きくした。

分かってるから、言わないで。これ以上、現実を突きつけないで。



「私は、お客さんで、貴人さんをレンタルしているだけですから……分かってます、ちゃんと」



言い聞かせているように聞こえてしまわないだろうか。

違う、ちゃんと分かっている。自分の立場、彼の役目、全部きちんと。



「……あの、今日はちょっと体調が優れないので、デートはお休みで、お願いします」

「すみれ?おい、お前……」

「明日は19時に駅で、よろしくお願いします……失礼します」



それだけのことを伝えると、ぺこりと頭を下げて私はその場を去った。




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